新年のご挨拶
皆様、新年おめでとうございます。昨年は大雨、猛暑、あるいは台風による被害が相次ぐ大変な年でした。本年はオリンピックも開催されますが、災害の心配などしないで存分に楽しみたいものです。
さて、富山ろうさい病院は昨年11 月1 日から大幅な入院機能の変更を行いました。具体的には6つあった病棟の1つを当面休止し、同時に4床あったHCU(高度治療室)を5床に増床、また透析機器を2台増やして24台としました。さらに、5病棟のうち1病棟を地域包括ケア病棟としました。これらの目的は効率よく病院を運営することと、昨今の需要に応じるためであります。全体の病床数は減りましたが、その分だけ1病棟当たりの看護師数は増加したので、より充実した看護体制となります。また、看護師の夜勤回数を減らし同時に夜間の看護体制を手厚いものにすることができました。HCUや透析器械の充実は最近の院内外の要請にこたえるものです。さらに、地域包括ケア病棟の導入は今回の機能変更の中心とも言うべきものです。ここはいわば退院準備病棟とでもいうべきものになります。最近では急性期の治療が終わっても諸般の事情により自宅等に退院できない方が増えてきました。地域包括ケア病棟では専属の看護師やMSW(医療ソーシャルワーカー)が退院後の生活のご相談に応じることになります。当然、地域の医療機関や福祉施設との連携もこれまで以上に重要になります。そのため、今回の機能変更では入退院支援センターを新設し、十分な数の職員を配置しました。
昨年、厚労省が統廃合を促す病院名を公表しました。これには多くの批判が集中しております。一律に患者数のみに注目し、その病院が果たしてきた役割や地方の実情に配慮していない点が大きな問題です。また、私立病院や大都市の病院が対象になっていないのも現実的ではありません。当院は地域的な理由もあって対象にはなりませんでしたが、一部は対象病院に近いものもあります。5年後、10年後に富山労災病院が市民の皆様に対して十分な医療サービスを提供できるか否かは今回の機能変更の成否によると考えております。皆様のご理解とご支援をあらためてお願い申し上げる次第です。
富山労災病院
院長 平野 典和