院長ご挨拶 ~新たな年を迎え~
新たな年を迎えるにあたり、地域の皆様に新春のご挨拶を申し上げます。
思えば昨年元日の大地震からはや1年が経過しました。コロナ感染は未だ完全に終息した訳ではなく、昨年も院内では何度か小規模のクラスターが発生しましたが、診療機能に大きな障害はなく無事に経過いたしました。その一方で、今年度の医療を取り巻く環境の厳しさは、コロナ感染が感染法上の5類に引き下げられた令和5年度以上のものとなっています。特に令和6年6月に行われた診療報酬の改定では、急性期病院の運営には向かい風となるものが多く、物価の高騰も相まって病院経営に大変な逆風が吹いています。このような状況下にあっても、富山ろうさい病院では超高齢化社会を迎えた地域の皆様の健康を守っていくために、職員一同が地域医療を守っていくのだという信念を持って日々の仕事に取り組んでいます。
経営環境の厳しい状況下であっても、経済的合理性の観点のみから地域医療を考えず、社会インフラとしての、地域医療を守る砦としての富山ろうさい病院の重要性を自覚して、今後も仕事に取り組んでいくつもりです。しかしながら一方で、安全で良質な医療を市民の皆様に提供していくためには経営基盤を安定させることも不可欠です。医療機関自身も社会のニーズにこたえて自ら病院機能の見直し、合理化を進めていかねばならないことは言うまでもありません。このような観点から富山ろうさい病院では、高齢者の救急搬送例をこれまで通り積極的に受け入れつつ、コロナ禍の収束した令和5年6月より地域包括ケア病棟を再開しました。これは75歳以上、特に85歳以上の高齢者の要支援・要介護者が増加する社会にあっては、急性期医療の現場での生活支援が必要になることから、高齢者医療の需要が増加する時代に必要な入院機能として「回復期機能を持つ急性期病院」こそが、今後の高齢化社会を守る地域の中核的存在になるという確信があるからです。
今後は、人口減少に対応しつつ、病院機能の維持を図るために診療機能の選択と集中などにも取り組んでいく必要があると考えていますが、地域の皆様には今後とも引き続き富山ろうさい病院をご支援くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
令和7年1月1日
病院長 角谷 直孝