尿路結石破砕センターのご紹介
平成27年11月より尿路結石破砕センターが開設しました
当院では平成24年7月より体外衝撃波結石破砕装置を導入し、腎臓や尿管の結石に対して体外衝撃波結石破砕術を行ってきました。治療の効果はある程度認めていますが、結石によっては体外衝撃波の治療が難しいケースや、砕けてもなかなか石が出ないで複数回の治療が必要になったり、追加で内視鏡治療が必要になり、治療終了まで数ヶ月が必要であったりするケースがありました。このような問題点を改善するため、平成27年10月より尿路結石破砕用のレーザーを導入し、いつでも尿路結石に対してレーザーを用いた内視鏡治療が可能になりました。体外衝撃波での治療が困難な結石や、仕事など多忙な患者様で早期の結石除去を希望する方への緊急対応も十分可能となりました。
11月より尿路結石破砕センターを設立し、患者様の様々なニーズに対応した全ての尿路結石の治療を行っています。
尿路結石破砕センターでの治療
A. 保存的治療(自然に石が出てくる事を期待した治療)
B. 外科的治療
- 体外衝撃波結石破砕術
- 経尿道的尿路結石除去術
- 経皮的腎結石砕石術
- 腹腔鏡手術、開腹手術
- その他(尿管ステント留置術、経皮的腎瘻造設術)
腎臓や尿管の結石は一般的に側腹部から腰背部を中心とした強い痛みをひきおこします。
小さい結石は自然に尿に出てくる確率が高いため、保存的治療(自然に石が出てくる事を期待した治療)を行いますが、石がなかなか出ない場合、痛みを頻繁に繰り返す場合は外科的治療を行います。外科的治療として体外衝撃波結石破砕術があり、行われる事が多いですが、大きな結石や多数ある結石、結石の位置や患者様の状態などにより、体外衝撃波での治療が難しい場合があります。そのような場合、経尿道的尿路結石除去術という内視鏡手術が勧められる場合があります。この治療は結石を細かく砕いて、取り除く事ができるため、体外衝撃波の治療に比べ、より確実性が高く、短期間で結石除去が可能です。また小さな腎結石は通常治療が必要でない場合が多いですが、大きい結石や、症状がある場合は細い内視鏡を用いた経皮的腎結石砕石術も行っております。
体外衝撃波や内視鏡の治療では結石除去が困難な場合、まれに腹腔鏡手術や開腹手術を行います。また結石による尿路閉塞により感染や腎不全を併発した場合には早急に尿管ステント留置術や経皮的腎瘻造設術を行い、その後結石の治療を行います。
保存的治療
(自然に石が出てくる事を期待した治療)
通常4mm以下の尿管結石は90%以上の確率で自然に尿に出てくると言われるため痛み止め等の薬と水分摂取にて自然に石が出てくる事を期待した治療を行います 。
体外衝撃波結石破砕術
体外式尿路結石破砕治療とは、体外で発生させた衝撃波を、体を通して結石に集中させ、そのエネルギーで結石を砕く治療法です。身体への負担が少なく安全性も高い為、尿路結石治療において多く行われる治療法です。当院では平成24年7月より電磁変換方式の体外衝撃波破砕装置であるDirex社製インテグラを採用いたしました。従来の機種に比べ、焦点の調整、透視の解像、細かい治療設定といった点で優れており、砕石効果の向上を認めております。
通常、麻酔は必要なく痛み止めの薬を使用して手術を行い、入院期間は2~3日の場合が多いです。
経尿道的尿路結石除去術
経尿道的尿路結石除去術とは尿道から尿管や腎臓内へ内視鏡を挿入して結石を細かく砕いて取り除く手術治療です
当科では細く軟らかい内視鏡とホルミウムヤグレーザーという器材を使用し手術を行っています。細く軟らかい内視鏡を使用するため、体にかかる負担はより少なくまたレーザーで結石をより細かく砕き、結石除去を行っております。
全身麻酔などの麻酔をして手術を行い、入院期間は3~5日の場合が多いです。
経皮的腎結石砕石術
腎結石は一般的に症状がない事が多いですが、1cm以上の腎結石は、今後結石に関連した事として、痛み、発熱(感染)、血尿、腎臓の機能低下などを引き起こすと言われています。血尿、痛み等の症状がある場合や症状がなくても1cm以上の腎結石は積極的な治療が必要と言われています。
経皮的腎結石砕石術とは背中の皮膚から内視鏡を腎臓の中へ挿入して結石を砕いて、取り除く手術治療です。
この手術は以前は約1cmの太さの内視鏡を使用していたため腎臓に与える負担もやや大きく、術後の出血などの合併症が起こることがありました。
しかし最近は6mm未満の細い内視鏡が開発されるようになり腎臓に与える負担も小さく、合併症も少なく、結石を除去することができるようになりました。
全身麻酔をして手術を行い、入院期間は5~7日の場合が多いです。
腹腔鏡手術、開腹手術
体外衝撃波や内視鏡の治療では結石除去が困難な場合、まれに腹腔鏡手術や開腹手術を行います。
全身麻酔をして手術を行い、入院期間は7~14日の場合が多いです。
尿管ステント留置術、経皮的腎瘻造設術
結石による尿路閉塞に感染を併発した場合は細菌が全身にまわり、敗血症により命に関わることがあります。また両側の尿管や、もともと腎臓の働きが良くない場合に尿路閉塞を伴うと腎不全を併発する場合があります。そのような場合は早急に尿管ステント留置術や経皮的腎瘻造設術を行い、引き続き結石の治療を行います。