病院の沿革

昭和20年代後半から30年代にかけて、日本経済の高度成長とともに増大した電力需要に応えるため、電力会社各社は、北アルプスの豊富な雪解け水を利用すべく、相次いで発電所(ダム)を建設しました。
とりわけ、常願寺川の有峰ダム、黒部川の黒四ダムなどの巨大ダムの建設にあたっては、莫大な資材や機器が搬入され、また多くの人手が投入されたことで、これに伴う労働災害もまた多く発生することとなりました。
労働省(現厚生労働省)では、多発する労働災害に対応するため当地に労災病院の設置が必要として検討していたところ、当院が立地する魚津市より、土地の提供(約29,000㎡)の申し入れがあったことで、急遽、昭和30年から5ケ年計画で労災病院の建設を進めることとなりました。
当院の開院は昭和33年5月です。
建設中の建物の一部完成を待って、内科、外科、整形外科の3診療科及び40床の病床で診療を開始しました。昭和34年には、眼科、耳鼻いんこう科、歯科の3診療科を加え、病床数も200床として、当地での災害救助の最新鋭病院としての陣容が整いました。
昭和35年には、当時、県内唯一の理学療法棟も完成、当院は労災疾病に関する予防から治療、リハビリテーションに至る一貫した高度・専門的医療を提供する労働災害の拠点病院として、高い評価を受けるとともに、その後めざましい実績を残すこととなります。
昭和50年代後半に入り、医療技術の向上や日進月歩の医療機器、設備に対応するため、老朽・狭隘化の進む施設の改築が急務となり、昭和57年から5ケ年計画をもって、新棟(病棟、検査棟、放射線棟など)の建設に取りかかりました。
新棟が完成する昭和62年までには、脳神経外科、泌尿器科、小児科、形成外科、皮膚科、麻酔科を逐次開設し診療機能の総合的な整備を図るとともに、病床数を300床として、地域医療の中核的役割を担う病院としての人的、物的両面での体制が整いました。
その後、平成5年4月に産婦人科を開設、平成7年には最新設備を揃えたリハビリテーション棟・人工透析室並びに管理棟が完成しました。また、平成8年には、救急告示病院の指定を受け、当地での救急医療体制での中心的・指導的な役割を果たすこととなりました。
労働環境や職場環境の変化にともない多様化する労災疾病に対しては、平成10年に「産業保健科」を、平成12年に「勤労者呼吸器病センター」を、また平成15年には「勤労者予防医療部」並びに「勤労者心の電話相談」を開設して、働く方々の健康の維持・増進に積極的に取り組むための専門体制を確保しました。
独立行政法人として新たなスタートを切った平成16年には、勤労者医療の一層の推進を図るため、一般の診療部門とは別に、これまでの勤労者医療に係る各部門を統括する「勤労者医療総合センター」を設置し、過労死予防対策やメンタルヘルス不全対策に取り組んでおります。特に、平成17年には深刻なアスベストによる健康障害に対し、アスベスト疾患センターを開設し、専門的な、診断、治療等を通し、労災疾病の研究機能を有する病院として、地域との医療連携を強化しながら、勤労者医療の中核的な役割を担っております。
平成18年6月には「核医学PET診断センター」を開設、魚津市からの貸与による県内初のPET/CTを導入し、平成19年1月には、厚生労働省から地域がん診療連携拠点病院の指定を受け、県内8つの指定病院と共に『富山型がん診療体制』への取り組みを行っています。
なお、平成23年7月に循環器内科及び平成25年5月から精神科並びに平成27年10月から病理診断科を正式標榜とし診療科の一層の充実を図っております。

病院の歩み

 

年月日 事項
S28     誘致運動開始(魚津市)  
30     病院開設決定(労働省)  
S33 1   病院開設事務所設置(富山労働基準局内)  
  4 1 熊埜御堂進院長就任(初代)  
  4   有峰診療所継承(中部労災病院)  
  5 12 診療開始(内科、外科、整形外科、病床数40床) 40床
  11 16 40床増床(西病棟3階) 80床
  12 1 40床増床(西病棟4階) 120床
34 4 1 80床増床(東病棟3階、東病棟4階) 200床
      本館完成(1階サービス棟・手術棟、2階管理棟)  
  8 1 診療科増設(眼科、耳鼻いんこう科、歯科)  
  12 28 設楽順院長就任(二代)  
35 2 1 理学療法棟完成  
36 12 20 機能回復訓練室完成  
43 4 1 診療科増設(理学診療科、放射線科)  
44 8 1 中村富夫院長就任(三代)  
45 3 9 病院バス運行開始  
46 2 22 放射線棟増築  
47 5 1 RI棟完成  
50 3 31 作業療法棟完成、機能回復訓練棟増築  
  12 1 診療科増設(脳神経外科)  
56 7 29 CT棟完成  
57 4 1 診療科増設(ひ尿器科)  
  11 15 (新)理学療法棟完成  
59 10 1 新館完成(中央診療棟、厨房、手術・中央材料室、病棟等)  
60 4 1 リニアック棟完成  
61 4 1 診療科増設(小児科、形成外科)  
      50床増床(本館3階病棟) 250床
  4 15 本館改修(管理棟、医局)  
61 9 20 本館改修(外来部門、薬剤部、医事課)  
      本館付属診療棟完成
 (CT室、内視鏡室、ガンマーカメラ室、超音波診断室)
 
62 4 1 診療科増設(皮膚科、麻酔科)  
      50床増床(本館2階病棟) 300床
63 4 1 太田五六院長就任(四代)  
H5 3 31 MRI棟完成  
  4 1 診療科増設(産婦人科)  
6 3 1 本館改修(薬剤部、医事課、救急室)  
  4 1 廣根孝衛院長就任(五代)  
  12 1 総合病院の承認  
7 3 31 リハ棟完成(作業療法室、人工透析室、管理棟)  
8 8 1 救急指定病院の承認  
10 2 1 産業保健科開設  
  3 31 本館耐震工事完成  
12 6 1 勤労者呼吸器センター開設  
13 4 1 渡邉洋宇院長就任(六代)  
15 4 21 勤労者心の電話相談開設  
  5 1 勤労者予防医療部開設  
  9 1 消化器病センター開設  
16 4 1 労働福祉事業団の廃止、独立行政法人労働者健康福祉機構設立  
      木谷隆一院長代理就任  
      勤労者医療総合センター開設  
17 4 1 三輪晃一院長就任(七代)  
  7 5 アスベスト疾患センター開設  
  8 1 がん相談室設置  
18 1 15 放射線治療装置廃止  
  3 30 PET棟完成  
  4 24 日本医療機能評価機構の審査体制区分3(Ver.4.0)認定  
  6 14 核医学PET診断センター開設  
19 1 31 地域がん診療連携拠点病院指定  
21 8 31 リニアック棟改修・放射線治療装置設置  
22 4 1 放射線治療再開  
      地域がん診療連携拠点病院指定更新  
23 4 1 木谷隆一院長就任(八代)  
  7 1 循環器内科(正式標榜)開設  
      日本医療機能評価機構の審査体制区分3(Ver.6.0)認定  
25 5 1 精神科(正式標榜)開設  
27 4 1 地域がん診療連携拠点病院指定更新  
  10 1 病理診断科(正式標榜)開設  
28 4 1 独立行政法人労働者健康安全機構  
  11 1 新病院にて診療開始  
29 3 29 地域医療支援病院承認  
30 2   グランド・オープン  
30 4 1 平野典和院長就任(九代)  
R1 8 1 富山県がん診療地域連携拠点病院指定  
  9 1 母乳外来、助産師外来、婦人科検診 開始  
  11 1 障害者病棟52床廃止  
2 1 1 HCU病棟1床増床(4床→5床)  
  2 1 地域包括ケア病棟導入(52床)  
    2 人工透析室増床(21床→23床)  
  11 1 発熱外来設置(プレハブ型)  
3 6 1 地域包括ケア病棟一時休止→コロナ専用病床開設  
4 3 1 核医学PET診断センター運用終了  
5 2 2 病院バス運行廃止  
  4 1 角谷直孝院長就任(十代)  
      リウマチ・膠原病内科(院内標榜)開設  
  5 1 コロナ専用病床廃止→地域包括ケア病棟復活(52床)  
  5 12 日本医療機能評価機構の審査体制区分3(3rdG:Ver.2.0)認定  
  12 22 稼働病床数変更(263床→247床)  
6 4 1 6階A病棟廃止・4階A病棟復活