病院概要

富山労災病院の理念・基本方針

理念

『私たちは、働く人々・地域の皆さんに信頼され、愛される「面倒見の良い病院」を目指します』

基本方針

『勤労者の健康管理と早期の職場復帰を支援します』
『地域の皆さんの健康に貢献します』
『患者さんの立場にたった医療を目指します』
『安全で質の高い医療を提供します』
『病院理念を実現するため、健全な経営を目指します』

院長挨拶

富山労災病院 院長
角谷 直孝

この度、平野典和病院長の後任として令和5年4月より富山労災病院第10代病院長に就任した角谷直孝です。

当院は旧労働省の管轄である労働福祉事業団傘下の1病院として黒部、有峰の電源開発工事に伴う労働災害に対処するため設立された病院です。

現在は、厚生労働省の外郭団体である独立行政法人労働者健康安全機構傘下の病院として、北陸で唯一のアスベストの診断、治療に対処するアスベスト疾患センターを有するとともに、いわゆる5疾病のうち精神疾患を除いた4疾病と5事業のうちの救急医療を担っております。

さらに、国の政策医療である治療、就労両立支援については、国の指定に先駆けて、すべての疾患に対する治療、就労両立支援を当機構の重点政策として取り組んできました。

私は金沢大学出身で、2011年4月に外科部長として当院に赴任して参りました。以来12年間、臨床面では消化器外科専門医として消化器癌の手術や抗癌剤治療、急性腹症などの手術に取り組む一方、地域医療連携室長として地域の診療所、病院の先生方との連携の旗振り役を努め、当院の理念である『働く人々・地域の皆さんに信頼され、愛される病院を目指します』を実現するため日々取り組んで参りました。

2016年11月には念願であった新病院での診療が始まり、素晴らしい環境で仕事ができることに感銘を受け、改めて地域医療を守ることの使命を感じました。新病院は最新の施設に加え、医療機器も魚津市の御支援などにより最先端の機器を備えることができ、以前にも増して病院機能を充実させて魚津市唯一の公的病院として、魚津市民病院的な立ち位置を確立できたと思っております。

しかしながら、当院が新病院での診療を開始した前後から医療を取り巻く環境は大きく様変わりしつつありました。巷でも話題となったいわゆる2025年問題がその一つです。富山県の地域医療構想の検討が県内の2次医療圏を中心に始まりました。団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて、これまでの医療ニーズが大きく変化するであろうことを視野に、医療提供体制の方向転換を計画するものでした。当院が属する新川医療圏でもこの構想に従い計画が策定され、当院では独自の判断で37床の急性期病床の休床と障害者病棟を閉鎖し、回復期の病床である地域包括ケア病棟を導入しました。

さらに、2020年に始まったコロナパンデミックでは、増え続けるコロナ感染者の入院治療に対応するため、一時的に地域包括ケア病棟を休止してコロナ専用病棟の運用を開始しました。未知の病気との戦いは想像を絶するものでしたが、我々は発熱外来や救急外来での発熱患者の対応、コロナ感染者の入院の必要性を評価する外来など、内科医師だけでなくすべての診療科の医師と共に、看護師、コメディカルが一丸となって取り組んできました。

その一方、この現象は当院だけのものではないのですが、外来、入院とも患者数の減少が常態化しております。今後、当地域では急速に若年人口の減少、高齢化が進み、10年以内に高齢者人口も減少局面に入ると予測されています。

このような状況を踏まえ、今後、早急にウイズコロナ下での診療体制の確立に向けて対策を講じなければなりません。また、医師の高齢化、大学から派遣される医師数の減少により、今後これまでと同等の医療(特に救急医療)を提供できるのか、不安は尽きません。しかし、良質で安全な医療を地域の皆さんに提供するというミッションには、今後も全力で挑み続けてゆく所存です。 私病院長は元より、今後も職員一丸となって全力を尽くす覚悟でございます。地域の皆様には引き続き、富山労災病院への御支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

富山労災病院

患者の権利

富山労災病院では以下に掲げる患者さんの権利を尊重します。

  1. 個人として尊重され、良質な医療を公平に受ける権利 
    患者さんは、医師を始め全ての職種から人格を尊重され、丁寧で思いやりのある医療を公平に受ける権利があります。
  2. 十分な説明と情報提供を受ける権利
    患者さんは、病名・症状・検査や治療方法とその危険性、代替手段、経過や予後の見通し、薬の内容や副作用などについて充分な情報や説明を受ける権利があります。
  3. 自らの意思で選択・決定する権利
    患者さんは、医療の情報や説明を理解したうえで、自らの意思に基づいて治療方法等に同意・選択・拒否する権利があります。
    そのため、自らの診療情報の開示や他院を含め医師の意見(セカンドオピニオン)を求める権利があります。
  4. 個人情報やプライバシーを保護される権利
    患者さんは、個人の秘密や診療に関する情報などのプライパシーを保護される権利があります。
  5. 新しい薬の臨床試験や研究途上にある治療について、これを受け、またいつでも拒否できる権利
    当院で実施している新しい薬の臨床試験や新しい治療法の臨床研究については、その目的、危険性などに関して十分な情報提供を受け、患者さん自らの意思に基づき同意・拒否する権利があります。

患者の責務

  1. 正確な情報を提供するとともに、疾病や医療を十分理解する責務 
    適切な医療を提供させていただくため、ご自分の健康に関する情報は、できる限り正確に伝える責務があります。
  2. 医療に積極的に取り組む責務
    患者さん自ら積極的に医療に参加する責務があります。また、医療スタッフの説明がわからない時は、納得できるまで質問などして自らの疾病や医療について十分理解する責務があります。
  3. 快適な医療環境づくりに協力する責務
    より良い療養生活をお送りいただくため、また他の患者さんの療養環境を損なわないよう、院内規則及び医師や看護師の指示を守る責務があります。
  4. 社会的ルールを守る責務
    患者さんには、社会的なルールを遵守し、他の患者さんのプライバシーや権利を尊重し、また、医療費を適正に支払う責務があります。

富山労災病院臨床倫理規程

富山労災病院は、患者の権利を尊重し、臨床の場における倫理の原則を下記の如く定め、患者にとって最良と思われる医療を平等に提供するよう心がける。その実現のため、個々の診療において発生する倫理的問題解決のためお互いの価値観を尊重しながら患者および家族との対話を重視するものとする。

  1. チーム医療のもと、医学的適応を確認し最良の医療を提供
    1. 患者の病歴、診断、予測される予後から治療目標を設定し、最も適切と思われる治療方法を示す。
    2. チーム医療を原則とし、他の専門医の意見を取り入れる。
  2. 患者の意向を尊重
    1. 検査や治療は「説明を同意」のもと始まるので、十分な説明と話し合いを行った上で、患者の意向に基づいて検査や治療方法を選択する。
    2. 患者に判断能力がない場合には、家族や代理人などによる代理決定を行う。
    3. 治療を拒否された場合はその理由を検討し、最善と思われる治療を一緒に考える。
  3. 患者の生活の質(QOL)を考えた医療を提供
    1. 治療との兼ね合いを考えながら、なるべく生活の質が保たれるよう患者と話し合いを行う。
    2. 在宅療法や緩和ケアなども必要に応じて計画し提示すること。
    3. 在宅で介護を担当されるご家族の負担を軽減するための話し合いを行う。
  4. 患者を取巻く状況を把握し医療に生かす
    1. 患者の治療に際して影響を及ぼす家族の問題について考え医療活動に生かす。
    2. 患者の経済状況や宗教に関しても納得のいく方法を考える。
    3. 医薬品やベッドなどの医療資源は、患者の病状を考慮した上で公平に患者に分配する。
    4. 医療者には患者の病状に関する秘守義務がありこれを遵守する。
      これを破棄せざるを得ない場合は、その正当性を確認する。
  5. 倫理委員会での審議結果に従った医療を提供

※QOLとは
quality of life(生活の質)の略で、人間の生活を量的にのみとらえるのではなく、精神的な豊かさや満足度も含めて、質的にとらえる考え方で、患者が評価できるものである。

手術治療情報データベース事業(NCD)への参加について

当科は、一般社団法人National Clinical Database(NCD)が実施するデータベース事業に参加しています。この事業は、日本全国の手術・治療情報を登録し、集計・分析することで医療の質の向上に役立て、患者様に最善の医療を提供することを目指すプロジェクトです。この法人における事業を通じて、患者様により適切な医療を提供するための医師の適正配置が検討できるだけでなく、当院が患者様に最善の医療を提供するための参考となる情報を得ることができます。何卒趣旨をご理解の上、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。詳しくは下記NCDの患者様向け資料をご覧ください。

National Clinical Database(NCD)
 専門医制度と連携したデータベース事業について 

登録対象診療科
 外科泌尿器科脳神経外科整形外科循環器内科

富山労災病院臨床研究倫理規程

臨床研究とは、「疾病の予防方法、診断方法および治療方法の改善、疾病原因および病態の理解ならびに患者の生活の質の向上を目的として実施される医学系研究であって、人を対象とするもの」をいう。
臨床研究を行う際に最も重要なことは人権の保護であり、世界医師会が発表したヘルシンキ宣言の中に詳しく記されている。また日本では平成16年12月に厚生労働省が「疫学研究に関する倫理指針」、「臨床研究に関する倫理指針」を告示している。さらに学会も独自に倫理指針を発表しており、当院での臨床研究の被験者の生命、健康、プライバシー、尊厳を守るというこれらの倫理指針に則って行う。

臨床研究を実施するための必須条件

  1. 倫理的かつ科学的に適正な臨床研究計画書を作成し、それを遵守すること。
  2. 臨床研究に関わるものから独立した委員会(倫理委員会)で臨床研究計画書および被験者への同意説明文書が審議され承認されること。
  3. 研究に先立ち、被験者から適正なインフォームド・コンセントが文書で得られること。被験者が経済上または医学上の理由により不利な立場にある時は、被験者の自由意志の確保に十分配慮すること。
  4. 被験者の安全を優先し、病状の悪化などを認めた場合は研究を中止すること。

臨床研究計画書

原則として以下の事項を記載する。

  1. 被験者の選定方針
  2. 当該臨床研究の意義・目的・方法・期間、研究に参加することにより期待される利益及び起こりうる危険
  3. 個人情報の保護の方法
  4. 共同臨床研究機関の名称
  5. 研究者等の氏名・職名
  6. インフォームド・コンセントを受けるための説明事項及び代諾者を含めた同意文書、同意撤回書
  7. 当該臨床研究に伴う補償の有無
  8. 当該臨床研究に係る資金源

臨床研究を行うにあたって被験者または代諾者に対する説明事項

  1. 当該研究の意義・目的・方法・期間。
  2. 研究者等の氏名・職名。
  3. 被験者として選定される理由。
  4. 当該臨床研究に参加することにより期待される利益及び起こりうる危険性。
  5. 個人情報は保護されること。
  6. 個人情報の取り扱い、提供先の機関名、提供先のおける利用目的が妥当であること等について倫理委員会で審査した上で、当該臨床研究の結果を他の機関へ提供する可能性があること。
  7. 当該臨床研究に係る資金源。
  8. 当該臨床研究に伴う補償の有無とその内容。
  9. 被験者及び代諾者などの希望により、他の被験者の個人情報や当該臨床研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、この研究の計画や方法についての資料を入手または閲覧することができること。
  10. 当該臨床研究の成果により特許権などが生み出される可能性があること及びその場合の帰属先。
  11. 被験者を特定できないようにした上で、当該臨床研究の成果が公表される可能性があること。
  12. 当該臨床研究への参加は任意であること。
  13. 当該臨床研究への参加に同意しないことをもって不利益な対応を受けないこと。
  14. 臨床研究の途中であっても、不利益を受けることなく撤回できること。
  15. 被験者からのインフォームド・コンセントを受けることが困難な場合には、当該臨床研究の重要性及び被験者の当該臨床研究への参加が当該臨床研究を実施するに当り必要不可欠な理由を記載しておく。
  16. 問い合わせ、苦情などの窓口連絡先などに関する情報。

臨床情報の公開について

臨床研究を実施する際に、文書もしくは口頭で説明・同意を行い実施しますが、患者さんへの侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみを用いた研究等については、対象となる患者さんのお一人ずつから直接同意を得る必要はありません。しかし、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を公開し、拒否の機会を保障することが求められています。このような手法をオプトアウトと言います。オプトアウトを用いた臨床研究は以下のとおりです。なお、研究への協力を希望されない場合は担当者までお知らせください。

輸血に対する考え方

  • 当院は、「輸血を拒否する患者に対して無輸血での治療を原則とするが、輸血無しでは生命の維持が困難となった場合は輸血を行う」相対的無輸血を方針とします。
  • エホバの証人の方が提示する「免責証書」等、絶対的無輸血治療に同意する文章には署名をいたしません。
  • 宗教的に輸血を拒否する患者に対して輸血が必要な場合は、当院ガイドラインおよびフロ-チャートに沿って進めますが、時間外で1名の医師しか在席しない場合は、患者の医療に関する判断能力の評価については看護師を含めた複数名で行う事とします。
  • エホバの証人医療機関連絡委員会について
    患者がエホバの証人である場合は、教団に上記委員会が存在し、信者と医療機関との橋渡しを行っています。転院先等について患者と同意の上で相談を行う事も可能です。

リンク:輸血療法マニュアル「宗教的輸血拒否に関するガイドライン」

当院の臓器提供に関する方針

富山労災病院は、患者の意思を尊重するという方針に基づき医療を行っており、終末期や死に際しても患者の意思が尊重されるべきと考えています。

患者さんや御家族から臓器提供の意思表示があった場合、その御意思に沿えるよう院内体制を整えております。
なお、入院の際、「臓器提供意思表示」の有無を確認しております。

当院では3名の院内コーディネーターが、ご質問やご相談をお伺いしております。
*外来の方は「1階皆さまの相談室」でご相談ください。
*入院の方は各病棟師長へご相談ください。

病院の特色

魚津地区唯一の公的病院として医師会と連携を取りながら、相互に補完する形で各診療科を整備しており、地域の人達に医療を通しての福祉に貢献できるように、診療体制の充実を図っています。

また、労災病院として担うべき役割を果たすため、労災患者の治療やリハビリテーションおよび勤労者の作業関連疾患への対応や健康管理に積極的に取り組んでいます。さらに、地域住民全体の医療ニーズにこたえる地域の中核病院としての役割を果たすため、心臓血管連続撮影装置をはじめ、MRI・高速CT・リニアック治療装置、アイソトープ使用のガンマカメラ診断システム、各種の超音波画像診断システムなどの最新鋭機器を導入し、常に的確な診断と適切な治療を提供するよう不断の努力を重ねています。

一方、地域医療圏の二次救急体制の病院群輪番制病院として、救急医療への100%対応を目標に尽力しています。

 主な施設認証・機器

医療従事者の負担軽減及び処遇改善に関する取組み

 医療従事者の負担軽減及び処遇改善に関する取組み