物忘れ外来(脳神経外科)

「最近、物忘れが多くなったな」と感じた人を対象に「物忘れ外来」を開いています。あなたや家族が感じている「物忘れ」が生理的(年齢による衰え)なものか、病的な認知障害かを鑑別します。もし、病的なものであれば、必要な治療をします。

<参考>
認知症による物忘れと加齢によるものわすれの特徴
認知症による物忘れ 加齢による物忘れ
体験したことを全部を忘れる 体験したことの一部を忘れる
忘れたことを自覚していない 忘れたことを自覚している
直前のことを思い出せない 以前に覚えていたことを思い出せない
日常・社会生活に支障をきたす 日常・社会生活に支障がない
話の辻褄を合わせようとして作話ある 話の辻褄を合わせようとする作話がない
脳委縮(海馬)

認知症は、一次性(変性性)認知症と二次性(続発性)認知症とに分類できます。
物忘れ外来では、正常か、一次性ないし二次性(続発性)認知症か、を調べます。

「物忘れ外来」診察の流れ

  1. 問診票に記入していただいて、発症状況や現状を知る。
  2. 神経学的診察とCT検査と血液検査にて、一次性か二次性か、診断する。
  3. 二次性認知症であれば、当該疾患に応じた専門的な診療を開始する。
  4. 一次性認知症であれば、認知症のタイプを鑑別する。
    1. 補助診断として、SPECT検査による脳血流の低下の有無とMRIによる海馬の委縮を見る(VRRAD)。
    2. 中核症状と周辺症状(精神的不安定性)に応じて投薬治療する。
    3. 安定している方は当院の神経内科か脳外科でそのまま内服治療などいたしますが、精神症状の強い方は精神科の先生と相談しながら診療します。

一次性認知症の主なもの

  1. アルツハイマー病
  2. レヴィ―小体病
  3. 前頭側頭葉変性症(含ピック病)
  4. パーキンソン病

二次性認知症の原因疾患として以下のような疾患があります

  1. 脳血管障害:脳こうそく、脳出血、脳アミロイドアンギオパチー、など
  2. 頭部外傷性疾患:慢性硬膜下血腫、脳挫傷後遺症、など
  3. 脳腫瘍:原発性、転移性、など
  4. 中毒性疾患:薬物中毒、有機化合物中毒、一酸化炭素中毒、など
  5. 内分泌・代謝性疾患:甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏症、など
  6. 感染性疾患:髄膜炎、プリオン病、など
  7. 正常圧水頭症
    *二次性認知症と診断されれば、当該疾患に応じた診療により治癒・改善を目指します。
    上記の疾患がない場合は、一次性認知症のタイプを診断して治療します。

一次性認知症のタイプ鑑別に使用する画像診断

脳委縮(海馬)

左図:MRI検査により脳委縮(海馬)が見られる。

e-zisレポート

上図:e-zisレポート
脳血流検査で、アルツハイマーパターンの可能性を見る。

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